人にやさしく ~クズとロリJS~
十数年前の事
当時DQN全開のオレはいつものように黒いぶかぶかのニッカズボンとお揃いの上着を着て親父と一緒に軽トラで建築途中の現場に向かっていた。
今日からお前ボード貼れ
そう作業の指示を受けてしばらく無言が続いた。
カーステレオからはまるで興味の無い政治のニュースを落ち着いた声で読み上げる男性アナウンサー。
通勤時間帯のせいか、かなり道路は込み合い、余裕の無い車達が自分勝手なルールで公道を走っていた。
その日は台風が近かったせいなのか、風が強く道行く人々は髪を乱れさせ衣服をバタつかせていた。
遠くに見える横断歩道には少しだけこなれたランドセルに黄色い帽子の小学生の集団。
それを見守る黄色い旗を持った父兄らしき大人。
あっ!
隣で運転してた親父が小さく声を漏らし、その声に反応したオレも反射的に前を見た。
車が行きかう交差点に黄色い帽子が風に飛ばされた瞬間だった。
行け
そう言って親父は素早くハザードランプを点け、安全かつ迅速に車を停車させオレに帽子を拾うようにとあごで指示。
お、おう
オレは素早く車から飛び出し対向車に手を振り頭を下げながら対向車線に転がって行った帽子を拾い落とし主の女の子に手渡した。
帽子が飛んだショックからなのか、涙を浮かべた天使の様な小学生に帽子を手渡す真っ黒いDQN。
お礼を言わせる間も与えず軽トラに乗り込み足早にその場から立ち去った。
親父はオレの慌てながら帽子を拾う様が可笑しかったのか、ニヤニヤしながら煙草をふかしていた。
そこから数分の建築現場につき、いつもと変わらず仕事を始めた。
昼飯を食い、午後の仕事にとりかかってしばらくの事。
あの~
若い薄着の女性と黄色い帽子の小学生がたっていた。
帽子ありがとうございました。
そう言って差し出されたスーパーの袋には沢山の飲み物とお菓子。
あの時の黄色い旗を持っていたのが母親だったらしい。
しかも建築現場の近くに住んでいて作業中のオレを午前中に見かけて訪ねてきたとの事。
逆にすいませんとこちらからも差し入れのお礼をし、小学生に
お兄ちゃんのヘルメットみたいに帽子のあごひもしないとダメだよ
と言うと恥ずかしそうにうなずき、母親の上着の袖を引っ張った。
ちょっと、引っ張らないで
と言った母親の肩口からは真っ青なサテン生地のブラ紐が見えていた。
人にやさしくするもんだな~(´>∀<`)ゝ