元気か?~盛者必衰~

いじめが始まったのは小学校4年の春。






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そう書かれた封筒を貰えるのは、学年で数人だった。



男子で貰ったのは2人だけ。

オレとケーキ屋の息子。


ケーキ屋の息子は明るく、ボンボンだったからゲームを沢山持っており、いつも回りには友達が群がっていた。


オレはというと、絵が上手ってだけのただの大人しいデブ。




あー!デブの証!

見せろよ!



オレから封筒を奪ったのは、ハイスクール奇面組のリーダーに似た小島だった。


小島は取り巻きの三崎を連れ、オレをからかい始めた。


クラスのやつらは騒ぎに便乗し、オレは孤立無援になった。




お腹痛い



そう言って翌日は学校を休んだ。


しかし、それも長くは続かず、親に無理矢理学校へ行かされた。


そんな毎日、現状から抜け出したくて、近所のお兄さんが入ってた野球部に入った。


数日は安泰だったが、小島と三崎も後を追うように野球部に入部して来たんだ。


おいデブ、ボール持ってこい!

スパイク磨いとけ!



先輩では無く、小島と三崎に言われてた。


それに便乗して先輩達もオレをパシり扱いし始めた。


近所のお兄さんは味方してくれたが、焼け石に水。


それでも頑張ろうと思った。



お、新しいグローブじゃん!
誰の?


ベンチの上に置いておいたオレのグローブだった。



…オレの



げ、デブのかよ!



そう言って、買って貰ったばかりのピカピカのグローブをマウンドに向けて投げられた。


ほれ、拾いに行け!デブ!
アハハハ!



黙ってグローブを拾い、野球部から去った。


また居場所が無くなった。



親には根性無しと罵られ、学校ではからかいの的になり、オレはどんどん内向的になり、人を信用しなくなっていった。


デブと言われるのが嫌で、小6の夏休みにダイエットを始めた。


食わなかった。走った。寝る時もサウナスーツで寝た。


夏休みが終わる頃には、デブでは無くなった。




えー!どーしたの?



先生始め、学年中が驚く程痩せた。


デブネタでからかえなくなった小島と三崎はシカト攻撃を仕掛けてきたが、むしろ好都合だった。


いじめられるより無視されてる方が楽だった。



オレっち!今日遊びに来いよ!


そう誘ってくれたのは別のクラスの石山だった。


石山は低学年の時クラスが一緒で、少し遊んだ事がある程度だった。


誘われるがまま、石山の家に行くと部屋には石山の中学生の兄貴と友達がいた。


これスゲーぞ!


そう言って外人のエロ本を見せてくれた。


石山兄貴達は、色々な事を教えてくれた。


ギターを始め、ファッションから悪い事まで。


楽しかった。


居場所が出来た。



中学に入ると、石山は見事な剃り込みを入れ、オレは石山兄貴達に貰った変形学生服で中学生活をスタートさせた。



オレの中学は、3つの小学校が集まるマンモス校で、各小学校の目立つやつらと揉めながら仲良くなって行くんだ。


小島と三崎は、他の学校の目立つやつらに比べれば小者だった。


三崎は、相変わらずの腰巾着っぷりで、後のバスケ部のキャプテンになる大西にべったりになり、大西の犬と言う名誉あるあだ名を頂戴する事になる。


小島は眉毛が薄い事と、おでこが広い事をからかわれ、ハゲ麻呂と呼ばれ、小学校の頃の勢いは陰を潜め、いつのまにか目立たない存在になっていった。


ハゲ麻呂と大西の犬は中学で失脚し、デブはヤンキーになり、中学生活を謳歌した。


祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす




小島、三崎、元気か?





最後まで読んで頂きありがとうございました。

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